
サクソバンクCEOインタビュー
共同経営者のキムとともに、サクソバンクを創業18年で世界130ヶ国に進出するグローバル企業へ導いたCEOのラルスが、投資銀行としての現状と今後の展望について語る。

ラルス・セイア・クリステンセン
CEO
(最高経営責任者)
北欧の小さな国から世界へ
デンマークは北欧諸国の中では最も南に位置し、緑や草花、そして紺碧に輝くたくさんの湖沼に恵まれた自然豊かな国だ。

面積は九州と同等で、人口も500万人ほど。日本と比べると小さな国だが、童話作家アンデルセンをはじめ、キルケゴールなど数々の著名な哲学者などを生み出してきた。
同国の首都コペンハーゲンに本社を構えるサクソバンクは、いまや世界130ヶ国に進出するグローバル企業だが、いったいどのようにして北欧の小さな国から世界金融の世界へ進出をはたしたのか。
キム・フォーネイとともにサクソバンクの共同最高経営責任者であるCEOのラルス・セイア・クリステンセンは、サクソバンクの立ち上げをこう振り返る。
「サクソバンクは、私とキムの2人で創業しました。立ち上げた1992年当時は、自分たちのビジョンを反映させた企業にしたいと野心に燃えていました」

現在世界180ヵ国に進出しているサクソバンク。海外進出は当初から計画していたのだろうか?
「最初から海外進出を狙っていたわけではありません。既存の銀行にできないサービスを追及し、オンライン・トレーディングに注力しました。その結果、インターネットの普及という幸運も手伝って、グローバル投資銀行として企業規模を順調に拡大してきました」
どの起業家にも挫折や苦労はつきものだが、ラルスは過去を振り返るのが好きではないという。
「たしかに挫折も苦労も数え切れないほどたくさんありました。しかし一度も後ろを振り返ろうと思ったことはありません。常に挑戦する姿勢を貫いてきました。何があろうとポジティブな思考でこれまで事業を進めてきましたし、それは今後も同様です」
ツール・ド・フランスを応援

サクソバンクは2008年から「ツール・ド・フランス」で活躍するプロサイクリングチームのスポンサーになっている。ツール・ド・フランスは、毎年7月にフランスおよび周辺国を舞台にして行われる自転車プロロードレースだ。
日本では民放でテレビ放送されない影響もあって国内における知名度はそれほど高いとは言えないが、欧州はもちろん、世界的にも有名なスポーツの祭典として認知されている。
2010年の同レースには、世界でも屈指の実力と人気を誇るたアンディ・シュレックとその兄、フランク・シュレックを中心に、北京オリンピックの金メダリストであるカンチェラーラ、銀メダリストのラーションを擁した強豪として参戦した。

投資銀行であるサクソバンクがなぜ「ツール・ド・フランス」のチームスポンサーを申し出たのだろうか。
「もともとデンマークは、エコ活動に熱心なこと、そして国土が高低差が少ないので、自動車よりも自転車が目立つ国です。自転車通勤する人も多く、サイクリングはサッカーに次ぐ国民的スポーツの1つです。2010年のチームには、あわせて16カ国の国籍を持つ選手がいました。それぞれが各国トップレベルの選手です。私たちがスポンサーになったのは、海外進出を行っているグローバル企業として、各国に弊社をよく知ってもらう良いきっかけとなると思ったからです」
金融機関に今、求められているものとは
リーマン・ショックに端を発した金融危機後、金融機関を取り巻く状況にも変化が生じているが、ラルスは現在、業界には「変革」が求められていると指摘する。
「今、一番大切なのは企業として透明性と公正さを保つことでしょう。過去には投資家が金融機関にあわせていた時代がありましたが、今は時代が変わり、金融機関に変革が求められています。私たちも投資家のニーズに真摯に対応するよう日々努力しています」
創業から18年という短期間で急速に成長してきたサクソバンクだが、ラルスは「企業規模を拡大することが私たちの目的ではありません」と話す。
「グローバル企業としてここまで成長してきましたが、規模を拡大することが最優先ではなく、投資家が安心して資金を預けてくれる金融機関を目指しています。そのためには、健全な財務状態を保つため、効率的な企業経営を行うことが重要です。今後は既存の取引サービスを一層強化するとともに、オンライン上で投資家の資産マネジメントにも取り組んで行きたいと考えています」


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