「証券CFD」とは一体何なのでしょうか?初級者編では、まず、証券CFDの基本となる株式についての理解から始め、取引の開始に必要な知識を学びます。それではさっそく始めてみましょう。
株式は会社の一部分なのです。言い換えれば、あらゆる株式が会社の所有権に相当します。例えば発行株数1,000株の会社の株式を1株保有しているとすれば、その会社の0.1%を所有していることになります。同様に、発行株数100万株の会社の株式を1株保有しているとすれば、その会社の0.0001%を所有していることになります。会社はそれぞれの発行株数を自由に決定することができ、この決定を下すことができるのはその会社だけです。トレーダーなどの他の市場参加者が勝手に自分の株を作り出すことはできません。市場参加者が取引できるのは会社が発行した株式のみです。
株式を保有しているときは、会社の成功も失敗も、つまり利益も損失も共有する権利が与えられています。会社の業績が良いときは、一般にその会社の株価は上昇します。会社の業績が悪いときは、一般にその会社の株価は下落します。もちろん思惑で株式を取引するトレーダーによって短期的に株価が上下することはありますが、通常長期的に株価を牽引するのは会社の業績です。
トレーダーは取引所を介して株式(会社の所有権の持ち分)を取引します。インターネットが台頭する以前の証券取引所は、投資家や仲買人が集まって、売買したい株の価格を交渉することができる物理的な立会場でした。例えばニューヨーク証券取引所(NYSE)やロンドン証券取引所(LSE)のように、物理的な取引所の多くが依然として存在する一方で、ナスダック(NASDAQ)のようにインターネットを利用する新しい取引所も開設されました。証券取引が現実の立会場で行われるかサイバースペースで行われるかにかかわらず、投資家にとって重要なことは株を売買することができる場所が存在することです。
会社は利益を上げるために事業を行います。これ以上複雑に考える必要はありません。会社は利益を上げたいのです。会社が利益を上げると、経営陣は将来の成長のために事業にお金を再投資するか、もしくは事業の所有者にお金を分配します。今申し上げたように、株を買うときは会社の所有権を買っていますので、経営陣は株主にお金を分配します。このように株主に現金を分配することを配当といいます。
成長を続け、生み出す利益が増大し続けている会社の株価は、上昇を続ける傾向があります。成長しておらず利益も増大していない会社の株価は、下落を続ける傾向があります。ただし、投資家がどの株を買ってどの株を売るかという選択を行うときは、単に会社の現在の業績を見ているだけでは足りません。投資家の最たる関心は、会社の明日、来月、来年の業績をどのように判断するかです。会社が将来も成長を続け、利益を上げ続けると考えれば、投資家は株を買います。これに対して、会社がこれまでのように目覚ましく成長し、利益を上げ続けることはないと考えれば、投資家は株を売却します。
単に株を買って持ち続けるのではなく、売買したくなる理由はどこにあるのでしょう。投資家は将来の株価を予測し、その信念に基づいて株を売買します。株価が将来上昇すると思えば株を買い、株価が下落すると思えば株を売ります。
株式トレーダーが証券会社に注文を出すと、証券会社はその後の処理を行います。プロセス全体を以下に示します。
- トレーダーは口座を開設した証券会社に注文を出します。
- 証券会社は証券取引所に発注します。
- 取引所ではその注文を別の注文(もしくは複数の注文)と合致させて、売買を成立させます。
- 取引所は、発注された注文の売買が成立したこと(約定)の確認を証券会社に送ります。
- 証券会社は顧客口座の注文状況を更新します。
驚くべきことには、上記のすべてが数秒足らずの間に(それ以下の場合もあります)完了してしまいます。オンライントレーディングツールの発達によって、個人投資家の注文が電光石火の速さで執行されるようになりました。
トレーダーは、株の値動きを利用するために株式を売買します。株を買い付けた場合、その株価が上がれば利益が発生します。例えば400ドルでA社の株を買い、株価が500ドルに上昇してから売却すれば、100ドルの利益(500ドル - 400ドル = 100ドル)が発生します。
株を空売りする(ディーラーから株を借りて公開市場で売却する)場合は、その株価が下がれば利益が発生します。例えばディーラーからA社株を借りて公開市場で600ドルで売却し、同じ株を500ドルで買戻してディーラーに返却すれば、100ドルの利益(600 ドル- 500ドル = 100ドル)が発生します。取引の参入時に株式を買い付けたかあるいは売却したかに基づいて、株価の変動が与える影響を次の表に示します。
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株価下落 |
株価上昇 |
| 株式買付 |
損失発生 |
利益発生 |
| 株式売却 |
利益発生 |
損失発生 |
株価は日々変動します。株式トレーダーとしてやるべきことは、株価が将来どの方向に向かうかを想定し、それに基づいて取引を行うことです。
株式の基本的な仕組みをご理解いただけましたでしょうか。
では、次は証券CFDについて学びましょう。
簡単に言うならば、証券CFDとは、対象となる株価の上昇や下落を反映して、その価格が上下する金融商品です。株と同様な動きをしますが、株ではなく証券 CFDを取引する最大の理由は、レバレッジにあります。レバレッジを利用して自己資金の数倍以上の取引ができるのです。それにより、トレーダーは利益を拡大させることができます。また、1日に同じ銘柄を何度でも無限に売買することも可能です。このことは、日本の株式トレーダーにとっては、驚くべきことです。
その他にも、証券CFDはトレーダーにとって様々なメリットを持っています。ひとつは、空売りができるということです。トレーダーは相場が軟調な時でも、ただ見ているだけではなく、空売りによって利益を出すことが可能です。さらに、世界のマーケットを相手にするため、24時間取引が可能であり、日中仕事に追われる人々も、夜間にトレードを楽しむことができます。証券CFDにはこのようなメリットがあり、また、トレードによって金利を支払ったり受け取ったりする点においても特徴があります。
証券CFDは株式と株式指数に基づいています。株式が会社の所有権を表す実際の証明書なのに対して、証券CFDは単純に2者間(多くの場合、投資家とディーラー間)の契約であり、基礎となる株式や株式指数の値動きに応じて、利益や損失の額を決定します。それぞれの会社の利用可能な株式数には制限がありますが、証券CFDにそのような制限はありません。会社は証券CFDを発行しませんし、利用可能数量を決定したりもしません。トレーダーが決定します。証券CFDを売買したいトレーダーが存在し、その反対売買をしたいディーラーなどが存在する限り、株式や株式指数を対象として取引することができる証券CFDの数は事実上無制限です。
証券CFDの価格は株価に直結しています。証券CFDの価格は証券CFDを買ったときの株価と現在の株価との差異の変動に応じて上下します。証券CFDはそれ自体で価格が上下することはありません。一方、株式はそれ自体で価格が上下します。株価が上昇すると、証券CFDの価格も上昇します。株価が下落すると、証券CFDの価格も下落します。これが証券CFDに投資する前に、株価がなぜ変動するのかを理解しなければならない理由です。
証券CFDと株式は人と熱気球の関係に似ています。人は単独で飛ぶことはできません。一方、気球はそれ自体で飛ぶことができます。ただし気球内に人が乗り込めば、その人は気球とともに飛ぶことができます。気球が上昇すればするほど、気球のなかの人も高く上昇します。気球が降下すれば、気球内の人も降下します。
あらゆる証券CFDには、特定の基礎となる株式もしくは株式指数が存在します。例えば日経225(東京証券取引所で取引される日本の株式指数)を対象とした証券CFDの取引では、証券CFDのパフォーマンスは日経225の値動きに基づきます。日経225の証券CFDを買い、日経225の価格が上がれば、証券CFDの価値も上がります。また逆に日経225の証券CFDを売り、日経 225の価格が下がれば、証券CFDの価値は上がります。取引の参入時に証券CFDを買い付けたかあるいは売却したかに基づいて、基礎となる株価の変動が証券CFDに与える影響を次の表に示します。
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基礎となる資産価格が下落 |
基礎となる資産価格が上昇 |
| 証券CFD買付 |
損失発生 |
利益発生 |
| 証券CFD売却 |
利益発生 |
損失発生 |
基礎となる資産(株式や指数など)の価格が上下するにつれて、証券CFDの価格も日々変動します。証券CFDトレーダーとしてやるべきことは、株価や指数が将来どの方向に向かうかを想定し、それに基づいてCFD取引を行うことです。では、証券CFD価格が株価に直結しているのであれば、なぜ証券CFDトレーダーは、単に株の取引をしないのでしょうか。
証券CFDトレーダーが、株ではなく証券CFDを取引するその理由は、レバレッジにあります。恐らくレバレッジは、個人投資家にとって証券CFDの最大の魅力の1つです。証券CFD取引では、レバレッジを利用して利益を拡大させることができるのです。レバレッジは、梃子(てこ)という道具を利用して小さい力を大きな力に変える能力です。仮に、大きな岩を現在それが静止している場所から動かすように頼まれたとします。もちろん素手で岩を押して動かそうとすることもできるでしょうが、長い棒のような道具を利用することができれば、つまり岩の下に長い棒を差し込めばレバレッジ(梃子の原理)の効果によって、仕事ははるかに楽になります。
証券CFD取引にも同じ原理が当てはまります。トレーダーは自己資金(または現在持っている株)を担保に、残りの資金をディーラーから借り入れることにより、その数倍〜20倍までの投資をすることができるので、自分の証券CFD口座に梃子をきかせる、つまり投資力を増大させることができるのです。通常、株を買うときは、株式価格のすべてを支払わなければなりません。ある株が25ドルで取引されているとすれば、その株の代金として25ドルを支払わなければなりません。100ドルで取引されていれば、100ドルを支払う必要があるのです。これに対して証券CFDを買うときは、株式代金の一部を支払うだけで足ります。場合によっては支払うのは代金の5%だけです。レバレッジは素晴らしいツールです。賢明に利用しましょう。証券CFD取引に利用できるレバレッジは、それぞれの取引について投資家が預託することを求められる証拠金によって決まります。
証券CFD市場はエキサイティングです。それはディーラーが資金を貸し付けてくれるため、すべての取引における潜在的利益率が高くなるからです。ただしディーラーから資金を借り入れる前に、投資家は発生するかもしれない損失を補填するお金を持っていることを示さなければなりません。証拠金は、投資家が損失を補填できることを証明するために、ディーラーに預託するお金です。例えば、ある銘柄の証券CFDを買うとすると、証拠金として株式代金の10%を預託することを求められるとします。約定代金が90ドルであった場合には9ドル相当を預託する必要があります。これは取引が投資家にとって不利な方向に働いたとしても、少なくとも9ドルの損失(10%の損失)は補填できることをディーラーに証明するためです。
求められる証拠金は証券CFDによって異なります。活発に取引されている株式や指数を対象とする証券CFDの必要証拠金率は低く設定されています。これはその株式や指数の流動性レベルが高いので、取引への参入/撤退を素早く行うことが容易なためです。投資家の素早い撤退行動は、予期しない損失を被ることなくポジションを閉じることができるという信頼感をディーラーに与えます。活発に取引されていない株式や指数を対象とする証券CFDの必要証拠金率は高く設定されています。これはその株式や指数流動性レベルが低いので、取引への参入/撤退を素早く行うことが難しいためです。
証券CFDトレーダー初心者の多くがよく間違えるのは、証拠金として預託したお金が実際に株式や指数の買付に使われると考えることです。そうではありません。投資家は取得代金の100%をディーラーから借り入れます。証拠金は、投資家が被る可能性のある損失を補填する資金を持っていることを、ディーラーに示すためだけのものです。
レバレッジによって利益は拡大しますが、損失が拡大する場合もあります。取引価格が50ドルの株を対象とした証券CFDを買うと仮定します。この場合はレバレッジを利用しているためにこの特定の株価の10%を支払うだけでよく、証券CFDには5ドルを用意すれば足ります。今度は株価が50ドルから55ドルに、10%上昇したと仮定します。これが証券CFD取引にどのような影響を与えるのでしょうか。証券CFDは差金決済取引ですので、50ドルと55ドルの差である5ドルが差金に当たります。株を買っていたとすれば利益は10%(50ドルの投資で5ドルの利益)でしたが、株ではなく証券CFDを買っていたとすれば取引に必要な金額は5ドルだけですので、利益は100%(5ドルの投資で5ドルの利益)になります。
これは驚異的なリターンですが、このレバレッジが不利に作用する場合があることも覚えておかなければなりません。この同じ証券CFD取引に参加したと仮定して、株価が上昇せずに50ドルから45ドルへと5ドル下落したとすれば、同じ理由で投資額の大部分を失うことになります。株を買っていたとすれば、受けた損失は10%でした(-$5/$50 = -10%)。ところが買ったのは証券CFDであり、取引に必要な額は5ドルだけでしたので、投資額の100%を失うことになります(-$5/$5 = -100%)。
レバレッジは賢明に利用しましょう。
証券CFDは証拠金取引商品ですので、貸付/借入にはオーバーナイト金利が発生します。これは証拠金取引を行う際の、ディーラーによる融資を利用する対価と考えてください。証券CFDのポジションを翌日まで継続すると(つまり、大引け〈ニューヨーク時間の午後5時〉)に証券CFDのポジションを持ち越した場合)、この証券CFDポジションは下記の貸付もしくは借入の対象となります。
- 証券CFDのロング(買い)ポジションを翌日まで継続
金利を支払うことになります。つまり基礎となる株式が取引される通貨に該当する銀行間金利 + マークアップ率(掛ける実日数/360もしくは実日数/365)に基づいて算出される借入の対象となります。
- 証券CFDのショート(売り)ポジションを翌日まで継続
この場合は、金利を受取ることになります。つまり基礎となる株式が取引される通貨に該当する銀行間金利 - マークダウン率(掛ける実日数/360もしくは実日数/365)に基づいて算出される貸付の対象となります。
貸付/借入は、基礎となる株式の、証券CFD約定日における終値に(買いもしくは売りにかかわらず)基づいて算出されます。また、その日のうちに(1取引日で)ポジションを決済したデイトレードの場合は、貸付/借入の対象にはなりません。
※口座の管轄権によっては、証券CFDを売り建てた(ショートポジションの)場合でも金利を受け取れないことがありますのでご注意ください。
証券CFDを提供する証券会社に口座を持つトレーダーが、証券CFDを売買する場合、トレーダーは証券会社を通じて売買を発注します。その証券会社は、中央取引所に注文を出すか、または取引の相手方になるという2つの方法のうちの1つによって、注文を執行します。
まず、中央取引所で取引されている証券CFDの注文を受けた場合のプロセスです。
- トレーダーは証券会社に注文を出します。
- 証券会社は証券取引所に発注します。
- 取引所ではその注文を別の注文と合致させて、売買を成立させます。
- 取引所は、発注された注文の売買が成立したことの確認を証券会社に送ります。
- 証券会社はトレーダーが口座開設する証券会社の、顧客口座の注文状況を更新します。
中央取引所で取引されていない証券CFDの注文を受けた場合は、証券会社が代わりに注文に応じますので、注文のプロセスが少し異なります。プロセス全体を以下に示します。
- トレーダーは証券会社に注文を出します。
- 証券会社が注文に応じます。
- 証券会社はトレーダーが口座開設する証券会社の、顧客口座の注文状況を更新します。
売買する証券CFDがいずれであるかにかかわらず、株取引同様にプロセス全体は数秒足らずで完了します。
証券会社が間に入らず、証券CFDの空売りを取引所で直接行うトレーダーの場合は、当該国の株式市場規則の適用を受けます。例えばオーストラリアの証券 CFD取引では、基礎となる市場の借株制限により、1日に売り建てできる株数が限られています。証券CFDを空売りし、その後リコールがかかった場合、ポジションを強制的に決済しなければならないことがあります。買収、配当、株主割当(及びその他の M&A行為)もしくはヘッジ・ファンドの売りが増えることによって、株式の借入が困難になった場合、このリスクは特に高くなります。